そしてやがて、広大な海に日が沈んでいく。空は薔薇色から薄紫に暮れなずみ、やがて闇色へと変わっていく。

―終わるのだ。

世界は奏で始める。悲しみの詩を。

そしてこの世界のどこかで二人は涙する。それぞれの死に直面し慟哭する。

愛が終わったのだ。

悲しみがあふれる。銀の月の光のように物悲しく輝く。

世界は大いなる悲しみに満たされる。

しかし死は完全なる終わりではないのだ。闇夜でも満天に星がきらめくように、人々は希望に向かって旅をする。天上界で長い長い旅をする。再び出会うために、生まれるために。

それは本当に本当に長い旅なのだ。

それを経て、やっとのことで、再び二人共に生まれ、出会える。もう忘れているのに、また出会えたと、それだけがわかって涙する。悲しみの涙ではない。愛の涙だ。

身を切られるように辛い別れ。

また出会えた喜びとときめき。

巡る命の壮大な、壮大すぎる営みを、カイは一瞬の間にまざまざと見せられたのだ。