ラミアードの戴冠式の準備は着々と進んでいた。
彼が正式に即位したのちは政治的なすべての判断や執務はラミアードにほぼ任せ、リュティアは事実上退位したも同然の、象徴としての女王となる。
そのことが少し寂しくはあったが、これで大っぴらに自分の信じることに時間を割けると思うと嬉しくもあった。
リュティアは、事実上退位したのだとしても、民とともに働くことや軍を見守ること、勉強は続け、陰ながら真実の王ラミアードを支えていきたいと思っていた。むろん、それが許される限りだ。
リュティアは気づいていた。魔月との決戦の時が近いことに。
ヴァイオレットは倒しても、世界を包む“聖なる守りの気配”が利かなくなったことは動かしがたい事実だ。
ライトが闇の力を使い、世界を陥れようとしているのは事実なのだ。
あの場に彼がいなかったことは、リュティアにとって救いだった。だがそれは遠方にありながらあれほどの闇の力を使えるほどの禍々しい存在だという証でもあった。
彼と魔月たちはこの機に間違いなく仕掛けてくる。
そうなれば、戦わなければならない。
世界全土を巻き込む大いなる戦いの予感に、リュティアは震えた。
女王としての暮らしで置き去りにされがちだったが、人間として生まれ変わっているという〈光の人〉も見つけ出さなければならない。この戦いを控えた状況の中、それはいかにも儚い希望のように思えてしまう。
彼が正式に即位したのちは政治的なすべての判断や執務はラミアードにほぼ任せ、リュティアは事実上退位したも同然の、象徴としての女王となる。
そのことが少し寂しくはあったが、これで大っぴらに自分の信じることに時間を割けると思うと嬉しくもあった。
リュティアは、事実上退位したのだとしても、民とともに働くことや軍を見守ること、勉強は続け、陰ながら真実の王ラミアードを支えていきたいと思っていた。むろん、それが許される限りだ。
リュティアは気づいていた。魔月との決戦の時が近いことに。
ヴァイオレットは倒しても、世界を包む“聖なる守りの気配”が利かなくなったことは動かしがたい事実だ。
ライトが闇の力を使い、世界を陥れようとしているのは事実なのだ。
あの場に彼がいなかったことは、リュティアにとって救いだった。だがそれは遠方にありながらあれほどの闇の力を使えるほどの禍々しい存在だという証でもあった。
彼と魔月たちはこの機に間違いなく仕掛けてくる。
そうなれば、戦わなければならない。
世界全土を巻き込む大いなる戦いの予感に、リュティアは震えた。
女王としての暮らしで置き去りにされがちだったが、人間として生まれ変わっているという〈光の人〉も見つけ出さなければならない。この戦いを控えた状況の中、それはいかにも儚い希望のように思えてしまう。

