ライトはこの時やっと、自分の気持ちの正体に気がついていた。

水晶球を捨てられなかったのは好きだったからだ。

水晶球に安らぎを感じたのも、リュティアを殺めたことがあんなにも衝撃的だったのも、好きだったからだ。

いつからなのかはわからない。だが好きという言葉以外、ライトの今のこの気持ちを表せる言葉はなかった。

リュティアは何がなんだかわからなかった。ただこの状況が許されざるものだということはわかった。だから必死でもがき、ライトの腕から逃れた。

―好き…?

リュティアは思った。

―そんなこと、あるはずがない…! あるはずがないではないか!

なぜだか涙が溢れた。

「うそです!」

体を突き離しながら、リュティアは叫ぶように言った。

するといまだに至近距離にあるライトの瞳が困惑したように揺れる。

「うそじゃ、ない…俺は…」

リュティアは最後まで言わせなかった。

「うそです。私の気持ちを知っているから、知っているから、騙そうというのですね!」

「…違う!」

「騙してまた殺そうと」

「違う!!」

「違わな―――――」