「キャッ!」


突如吹き荒れた突風。

ぶわりと舞う草や木の葉に視界が遮られ、凄まじい風の威力に咄嗟に目を閉じた。


本当に、すごい威力だった。私の体重がもっと軽かったらぶっ飛ばされたんじゃないか?……いや、それだと私が重いだけみたいだけど。


台風みたいな風はすぐにおさまったものの、すぐに目を開ける事が出来なかった。

それでも驚きとほんの少しの恐怖にバクバクと鳴っている心臓。
胸に手を当てつつそっと目を開くと、辺りはシン…と静まり返っていた。夜の曇り空も、大きな木も、自然だけで何もないこの場所も、なんら変わりない。


変化があるとすれば、木の側に置いていた私の自転車が見事に倒れてるって事だけだった。