ドクン、と高鳴る心臓。
体外は寒くてたまらないのに、内側の芯は熱を持ったように熱い。
高橋幸満はライムを抱き上げた。車イスが装着されている下半身に負担がかからないよう慎重に、赤子を抱くよりも優しく。
そして天を仰ぎ見て。
「やっぱり、こっちの空は綺麗だな」
なんて。穏やかに微笑みながら言うもんだから、不覚にも見惚れた。
そう、不覚だった。
高鳴った鼓動は落ち着くどころかどんどん速くなっていく。痛いほど。しかしどこか心地好いほどに。
……信じらんない。
「やっぱりって、前にも北海道来たことあんの?」
私の問い掛けに「内緒」と。口元に人差し指を立てニシシと笑った高橋幸満に―――――ユキに。ドキッとした。
まだ出会ったばかりなのにありえないと。
こんな、私とは丸っきりタイプが違うのになんでと思っても、強烈に惹かれてく想いに歯止めはきかなかった。
それから約1ヶ月後。
交際を申し込んでくれたユキに、私は産まれて初めて、恋というものを自覚した。
