こんな時期に、しかもこんな田舎の学校に転校した所為か、すぐに高橋幸満は注目の的となった。

加えて容姿も良く人懐っこい明るい彼がクラスの……いや。学年中の人気者になるのに時間は掛からなかった。

そして彼にはもうひとつ、周囲を惹き付ける理由があった。


「にしても、なんでユキ君ってこんな中途半端な時期に転校してきたんだろうね~。東京にいたんでしょ?」


横から聞こえてきた美香の声に肩が微かに跳ねた。
まるで今考えていた事を読んでいたかのようなタイミングに驚いたのだ。


「まぁ…そうらしいね」

「いいな、東京。あと1年以上もあると思うと長いよ」

「美香は東京の大学だっけ?」

「うん。八重もでしょ?」


まぁね、と頷こうとしたちょうどその時先生の視線がこちら側に飛んできて、慌てて口を閉じた。