「なんで流星の丘って言うんだろう…」


呟きは夜の世界に消えた。


返答のない疑問に首を傾げててもしょうがなく、自転車を漕ぎ流星の丘を目指す。

車なんて滅多に通らないから、車道の真ん中を走ったってへっちゃらだった。


街灯も極端に少ないこの場所では、自身の自転車から放たれるライトの光だけが頼りと言っていい。


夜の帳は、少し怖かった。



「寒……」


11月。何枚か重ね着してても寒い気温に肌が痺れる。

この寒さも私がこの土地を嫌いな理由のひとつだった。

以前テレビで北海道の人は寒さに強いとか言っていたけど、そんなの人による。少なくても私は寒いのに弱いし、嫌いだ。


新しい服が欲しいと思っても街まで行かないとろくに買い物も出来ないこの場所も。冬になればバカみたいに雪が降るこの土地も。


あの女の居た気配を残す此処が、私は何よりも大嫌いだった。