そう言ってお父様はあの時と同様にお母様の手をとりお母様を立ち上がらせた。
「名は何というのかね」
お父様は手を握ったままそう聞いてきたらしい。
「あ、はい。あ、あの…、私はリリーと申します。年は14でございます」
「︎リリー…。覚えておこう。明日もここへこれるかね、リリー。私はまたあなたと会って話がしたい」
「も、もちろんです!」
お母様は赤くなる顔を気づかれないよう、下を向いた。
「わがままを言ってすまないな。来れる時でかまわない。今日と同じ時間に明日もここへ来る」
そう言ってお父様は馬車に乗って帰ったらしい。

