そして、私にキスをして


それに気がついたお母様はすぐに膝をついて頭を下げた。

「1年前だというのに、私のことを今だに覚えていてくださったことをとても光栄に思います」

「覚えていますよ。私はあれからあなたに会いたくてここへ毎日のように通っていましたから」

それを聞いた瞬間お母様は目の前に王様がいるにも関わらず、驚きのあまり発狂してしまったらしい。

「なぜ、私のような者のためにこんなお城から遠いところまで…」

お母様はまた膝をついてお父様に言った。

「あの時も言ったであろう。自分のことは大切にと。自分のことを私のような者などと申しなさるな。私はあなたのお名前が知りたくて毎日ここへ通ったのですよ」