「わたくしの足など綺麗な足とは到底思えませぬ。そのようなお褒めの言葉を王様の口から聞けたことを心より嬉しく思います」
そう言ってお母様は顔をあげた。
「自分のことをそんな風に言ってはなりませぬ。自分を大切になさってください。あなたは女性だ。どこかに傷をつけてしまっては今後大変であろう」
そう言ってお父様はお母様の手をとって立ち上がらせたらしい。
お母様はお父様のこの行動に一瞬にして心を奪われてしまい、以後、この行動のおかげでお父様のことが忘れられなかったらしい。
それから1年後、その日もたまたまお母様は川へ水をくみに出かけていた。
すると、その時また王様の馬車が通りかかった。
そして、お母様とお父様はそこでまた出会ったらしい。
「これはこれは。あの時のお嬢さんではないですか」
そう言って、お父様はあのときと同様に馬車から下りてきた。

