この時はただ、 純粋に恋して。 純粋に巳波が好きだった。 見るものすべてを映し返す鏡みたいに。 透き通る水みたいに…… ¨純粋¨って言葉が 1番似合うあたしが 確かにいた。 映り返ったものは姿を変え、暗い闇。 澄んだ水は汚れ、行き場をなくす。 静かに流れる涙こそ、その象徴─── 『夏はね、 夜空に浮かぶ星と月。 それからキラキラの花火にさ、 浴衣着て‥ 大好きな人の隣を歩きたい』 それはそれは 心に咲いた 小さな願い。 .