「おかえり…
未来、この部屋にいる?」
口を出た言葉は、驚くくらいに震えてた。
「いるに決まってるじゃん。
これから宿題やるから」
そっか。
「分かった」
ポツリと言い残して部屋を出た。
未来に、まだ巳波とのこと話してないから。
優との話、聞かれるのが気まずかったの。
「由紀乃、人の彼氏とコソコソ電話してんじゃないよ」
外に出ようとすると、背後からママの声が響く。
あたしはママを無視して、また優との会話に戻る。
「あたし、学校行く意味なくなっちゃった」
『なんで?』
「だって楽しみなくなっちゃった」
地面を見つめたまま呟いた。
「本当はね。
分かったとか言ったけど、巳波に距離置こうって言われた時…
すごく嫌だった。
辛かったんだよ。」
『うん。
巳波も言ってたよ。』
「なんて?」
『距離置こうって言っちゃったって』
ねぇ巳波。
それって、距離置こうって言ったことを少しは後悔してくれたってこと?
そう思ってもいいの?
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