一瞬、振り返った巳波と目があった。
だけど、
巳波歩くの早いよっ。
すぐバイバイするように、なっちゃうじゃん。
「未来は自転車だけど、あたしは車なの〜!」
「自転車で来ればいいじゃん」
もうっ、本当に何も分かってないんだから。
「だって雨に濡れるの嫌なんだもん…」
そう答えるあたしを見て、クスッと笑う。
ビショビショになって帰るのなんて、嫌だもん。
それに。
迎え来るのが遅くて待ってたから、こうして巳波に会えたんだよ?
それが何よりも嬉しい。
真っ直ぐ前を向いて歩く巳波が、すごく愛おしく感じた。
あたしの視線は完全に巳波に向いてるのに。
巳波はあたしを真っ直ぐに見てくれないね。
それでも、巳波の近くを隣じゃなくたって、
歩けることが嬉しいんだよ。
「あ、ねぇバレたかも」
会話が途切れた時に、巳波が思い出したように発した一言。
「何が?」
その意味を全く理解できないあたし。
だって、バレたって言われても…。
言葉足んなくて分かんない。
「だから、俺らのこと」
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