まだまだ人は少なくて、
って、お祭りはこれからだけどさ。
賑わいのない道路。
「行こっ」
「ありがとうございました」
ココのママさんにお礼を言ってから車を降りた。
冷たっ。
ちょうど降りた場所が草の生えた所だったから、
前に降ったのであろう雨に、濡らされた草の滴が足に触れる。
下駄だから直に冷たい。
でも夏の暑さには、このくらいがベストなのかも。
浴衣と下駄だと歩きにくいけど、
今日くらいは乙女にいかないとね。
なーんて考えながら、
まず、手を繋いでココと歩き始めた。
もちろんルンルンで。
あたしには無理だな。
お祭りってだけでテンション上がっちゃうもん。
「何食べよっかー?」
「うーんとねぇ…」
純粋な会話。
あたしは忘れることができてた。
キミのことを。
まだ人の集まらない、今だけは。
.


