【完】『道頓堀ディテクティブ』


膠着したまま、夕方を迎えつつある。

すると。

中から何人か、下着にされた女が縛られたまま非常口から出てきた。

「何人かは解放する」

といったような様相である。

人質はこれで四人となった。

「七人解放してまだ四人か…長丁場になりそうやな」

上空でヘリコプターの爆音がやかましい。

「要求が来ました」

通信班からの報告である。

「まずは人質の分と犯人の食糧を渡せとのことです」

すでに発生から四時間は近い。

「受け渡し役は男ではなく警察官ではない女、と指名してきました」

「そんな無茶な…」

進藤補佐官は明らかに困り果てた顔をした。

「民間人から協力を出せと言うても、無理ありまっしゃろ」

穆の指摘はその通りである。

そのとき、である。

「…あたしが行きます」

まりあが意を決したように立ち上がった。

「…えっ?!」

進藤はさすがに、

「それこそ無謀というものです」

相手は銃を持ってるんですよ、といった。

その通りであろう。

が。

「あたしなら見ての通り、明らかに民間人の女ですよね?」

確かに言う通りではある。

だが。

「それは危険やで」

「でも、じゃあ他にいるんですか?」

全員が反駁できなかった。

「仕方ないですよね」

存外まりあには、肝の据わったところがあるらしかった。