【完】『道頓堀ディテクティブ』


が、しかし…。

堺筋本町の金融街は、あちこちに警官が立つ異様な光景となっている。

中でも地下鉄の入り口に近い銀行は、

──さながらドラマやな。

と野次馬が口々に言うほど警官が群がっている。

蟻の這い出る隙もない、とはこういうことを指すのではなかろうかというほど、機動隊の楯やら鋼鉄の護送車両などで取り囲まれていた。

そこへ。

進藤補佐官が到着した頃には、

「どないすんねんな」

と副署長が頭を抱える報せが入っていた。

「どうやら花島巡査部長が中にいるらしい」

というのである。

ステンレス製の目の粗いシャッター越しに見える中の景色は、人質の女性たちが全員下着姿にされて縛られており、

「あ、花島さん」

そこには青い下着だけの姿にされた茉莉江がいる。

「見てみい、婆さんまで下着姿や。悪趣味な犯人やで」

なるほど双眼鏡で覗くと婆さんも下着姿である。

異常としかいいようがない。

中には覆面に銃を持った、犯人らしき人物がうろうろしている。

「あれは…女か?」

よくみると腰周りが丸く、胸にも膨らみらしき箇所がある。

「仮に女なら、前代未聞やで」

ただでさえ女強盗は少ない。

そこにきて。

銃を手に人質を取るなどというのは、ほとんど聞いたことがないであろう。

すると。

急に後ろがざわつきはじめた。

振り向くと、

「あれ、ナニワのシャーロックやで」

という声の先に、穆とまりあがいた。

「…久保谷さん!」

進藤補佐官は手招いた。

「あ、進藤さん」

かなり物々しいですね、と穆は言った。

「金目当ての強盗とは少し勝手が違うようです」

進藤は答えた。