【完】『道頓堀ディテクティブ』


翌日…。

穆とまりあが池田の東郷に教えられた植木村に行ってみると、確かにあちこち庭木と思われるムクゲが咲いているのが見えた。

「なかでも雉鳩ムクゲってのは、池田でも一軒しかないらしい」

それぞれの店でリストだけもらって、車でひもといてみると、

「なるほど…ほとんど」

雉鳩ムクゲはない。

今でも扱ってるのは一番奥の天王寺屋という古い造園屋で、

「あすこはほとんど納品が府内の女子大の茶道部で、小売りはしていない」

との近隣の話であった。

「行き詰まっちゃいましたね」

「いや」

少なくとも犯人は府内のどこかの女子大の茶道部に関わりがあるという絞り込みだけは、出来たかたちになる。

帰ると進藤補佐官が来ていた。

その話をすると、

「やっぱりそうでしたか」

と、実は進藤が独自に取り調べ、同じく入手ルートをほぼ特定していたのと同じであった。

が。

「そんなものは証拠になるのか」

そう言って今の被疑者が真犯人だと疑わない者も府警内にはあるようで、

「花島巡査部長なんかは特に強硬に言ってまして」

証拠として採用できん、と会議で却下したといういきさつもあった。

「物証は科学的には決まらないんですね…」

まりあがつぶやいた一言が、進藤には痛かった。