【完】『道頓堀ディテクティブ』

寺内健吉から替わった廣重というデスクはその話を聞くや、

「それ載せるぞ」

といい、あろうことか独断で記事にして、翌日の朝刊に掲載してしまった。

もともと。

府内では部数の多い地方新聞でもある。

たちまち、

「ミナミの探偵は以前から冤罪を見破っていた」

という話題が、駆け巡ったのであった。

当の穆がそれを知ったのは、新聞を開いた瞬間である。

「…これは」

しかし文体がはるかの書き手ではないことだけは見抜いた。

「…やりやがったな」

苦笑いしながら、まりあが入れたコーヒーを飲んで、記事に目を通すのであった。

昼近くなると気の早い記者連中が、事務所に押し寄せてきた。

「警察があてにならん以上、探偵に解決してもらうより他ない」

といった深刻な新聞社から、

「ミナミのシャーロック」

などと穆にすれば迷惑きわまりないキャッチコピーをつけた、山師根性丸出しのテレビ局まで、十人近くさまざまいる。