【完】『道頓堀ディテクティブ』

次に、と出したのは造園屋のカタログで、

「前にはるかちゃんに記者クラブから借りた写真がこれ」

ピンクの綺麗な花である。

「で、割り出した花がこれ」

指し示したのは「雉鳩」と書かれた品種である。

「瓜二つやん…」

はるかがつぶやいた。

「これは組合に問い合わせてみたら関西では生産している業者が少ないそうです」

「…それで?」

茉莉江が初めて重い口を開けた。

「つまり雉鳩ムクゲの流通ルートを探れば、どこで花を手に入れたかが分かる」

「なるほど」

はるかは納得した顔になった。

「花言葉も一応調べてみました」

本棚から出した花言葉辞典なるものを開くと、

「信念、悲しみ、大望」

とある。

「これがどう繋がるのかは、分かりません」

しかも。

「われわれ探偵は刑事ではありません」

当たり前のことを言った。

「なぜ犯人がムクゲを死者に飾るのか、その犯人を捕らえるのは花島さん、あなたの仕事です」

実に明快な、それでいて核心をえぐるような言い方をした。

が。

茉莉江は不思議と、腹が立たなかった。