【完】『道頓堀ディテクティブ』

穆のミナミの事務所に一瀬はるかと花島茉莉江がやってきたのは、何日か雨が続いた夕方である。

「あ、いつぞやの刑事さんやないですか」

気にする様子もなく、穆は椅子をすすめた。

まりあがコーヒーを出す。

「あの…穆さん」

はるかが口を開いた。

「例の木槿の件、ですか?」

「そう!」

茉莉江は黙ったままでいる。

「ざっとですが調べてみました」

そういうと取り出したのは植物図鑑と、どういう訳か造園屋のカタログである。

「まずムクゲについて知らなきゃ、メッセージが分からんでしょ」

植物学から斬り込んでみたらしい。

「ここにほら」

指さす先にはムクゲの写真と説明がある。

「アオイ科の樹木。8月頃に、白やピンクの花を咲かせる」

とあり、

「日本には自生種がなく、古い時代に大陸から漢方薬として渡来したとされる。韓国の国花」

とある。

「まぁ植物学的には、そういうアプローチやわな」

穆はにべもない言い方をした。