【完】『道頓堀ディテクティブ』


その頃。

バスは高速に乗って都城を越え、高千穂のあたりを博多を目指していた。

すでに。

バスの非常灯は、携帯を集めている隙に運転手が点している。

それを見たパトロール隊が通報し、えびのに近づく頃にはバスの背後を覆面のパトカーが尾行していた。

むろん。

このときにはすでにニュースとなり、時間帯が昼間なだけにワイドショーの中継らしきヘリが何機か上空を旋回する音も聞こえる。

大二郎が放尿したあと、

「臭くてかなわん」

といって窓を開けたままにしてあったのである。

すると。

一台の白バイがバスの前に入った。

やがて。

運転手は察したかのようにインターに入って、そこでようやっとバスは停車した。

男は異変に気づいたらしく、

「誰かゲームのルールを破りましたね」

通報したな、ということらしい。

包丁を手にすると、

「ではどなたかに生け贄になってもらいましょう」

そう言うと生け贄にふさわしい者を物色し始めた。

「そこの女」

指名されたのは、例の赤リュックの女である。

「立て」

その刹那。

「…あんたなぁ、たいかいにしいや」

立ち上がったのは大二郎である。

「大の男が女しか人質にせんとは、お前ホンマに股に一物ついとんか?」

言われて悔しかったら証明してみぃ、とせせら笑った。

「…侮辱ですか」

「侮辱やのうて事実やボケ」

もともと腕力はないが口は立つ。

「事実じゃタコ」

「なんだと…」

「だいいち、こんなスカタンやらかしたトコで世の中変わるわけないやろ、このアホンダラが!」

やるなら東京でも下って霞ヶ関でも火の海にしてから言えこのカス、と口を極めて面罵した。