【完】『道頓堀ディテクティブ』

翌朝…。

まりあに留守番を頼んだ穆は、大二郎と鉄道を乗り継いで伊丹の飛行場に行き、宮崎行の飛行機に慌ただしく搭乗した。

「…宮崎ですか?」

「東郷先生の出身地やからな、まずは行かな話にならんやろ」

フライトは案外あっさりと一時間ばかりで、空港からは日南行のシャトルバスに乗り継ぐ。

小一時間ほど乗ると、飫肥本町という停留場で降り、少し歩くと白壁に黒い下見板の美しい、武家屋敷の並ぶ辻が見えてきた。

「…まだ日本にこんな所があったんですね」

「さて、先生探しや」

大二郎の観光めいた気分を殊更に無視するかのように、穆は東郷の実家を目指した。

前に取った戸籍の住所を頼りに探して行くと、古民家の並んだ界隈の一軒がある。

が。

それはカフェになっていた。

「…うーん、ここでどん詰まりかぁ」

こうなると役場で訊くしかないのだが、日南の中心部まで距離がある。

時計を見た。

最終の飛行機まで二時間を切っている。

「どうしますか?」

「ちょっと、無理があるやろ」

乗り遅れては、洒落にならない。

仕方なしに飫肥本町まで戻って、帰りのバスを待つことになったのである。