あの日から、川口の様子がおかしい。まず、川口と顔を合わせることが滅多になくなった。

「紘、最近すごい荒れてない?」

「会長。円と何かあったんですか?」

 司と二階堂に訊かれた。

「あれから……川口と会ってないんだ」

「あれからって、デートの日からか? 紘、なにかしたんじゃなーい?」

 俺のせいで、川口を傷つけてしまった。

「もう、俺の顔なんて見たくないのかもしれない」

「紘……」

「会長……。円は、そんな子じゃないですよ」

 二階堂が寂しげに言う。

「わかっている。俺が悪いんだ。川口を傷つけ、た」

 なんだ。視界がぼやけている。

「紘!?」

「司、もしかして俺……」

「泣いてるよ、紘」

「会長。何か事情があるはずです。円はそのせいでくるしんでいるかもしれない。会長が守ってあげなくてどうするんですか!」

 そうだ。泣いている場合じゃないだろう。

「ああ。目が覚めた、二階堂」

「まず私から、円に訊いてみます」

「ああ。頼む」

 川口が抱えるものを、一緒に背負っていきたい。

 もう、離さない。約束したから。