キミのために

「話が始められない、とは⁇」



「俺は当主家族全員、と言ったはずだ。


1人、足りない」



「は…?我々は4人家族ですが…」


「シェリルだ」



俺がそう言った瞬間ヴィクターはたるんだお腹を小刻みに揺らして驚いた。



…きも。



「な、何故シェリルのことを‼︎」



「そんなことはどうでもいいんです。


シェリル様はどちらですか。


これは皇太子命令ですよ、早くしなさい」



シャロンもイライラしてきたのか、口調が先ほどより強くなってる。


「ろ、牢屋…です。


向こうの、離れの方の…」



おどおどして言う正妻を本気で睨む。


シャーロットが指差した方向を見て、シャロンと共に立ち上がる。



「行くぞ、シャロン」


「は。



…それと、クラーク家ご家族。


話し合いはまだこれからですから肝を据えておいてくださいね?」



シャロンが冷たい微笑をし、部屋の温度が氷点下になったのを感じてから2人で部屋を出た。