キミのために

ーーーーー同時刻。





煌びやかな王城ではこの国の皇太子とその側近、そして1人の若い女の3人が小さな部屋で話していた。





「これがクラーク家の調査書、ね」






この国ーーーウォールゲン王国の皇太子クリストファーが書類に目を通しながら呟いた。





その書類にはクラーク家のあらゆる悪事が書いてあり、クリストファーはその秀麗で怜悧な顔をほんの少し歪めた。




「はい。特に当主とその正室の暴力が酷いと思われます。





使用人も2人の暴力に恐れていたために、今まで悪に手を染めていたのだと思います。






そして、その…」



そう答えた1人の若い女ーールーナは最後に言葉を濁す。




ルーナの横顔も美しく、何でもこなせる天才だが、




その顔に似合わず、自分が認めない者には容赦ない毒舌家である。





「そして、何ですか?」




ひっそりと皇太子の側にいた男、シャロンがルーナに尋ねた。




「はい。その、クラーク家直系の令嬢、シェリル様への扱いが酷いかと」




「シェリル?

前クラーク家当主の1人娘のこと?」




クリストファーが書類と照らし合わせて言った。