キミのために

「でも、それより…」


「何⁇」


「シェリル様がシャーロットの怒りによって牢屋に囚われていて」


「な、何だって⁉︎」


俺は動揺を隠せなかった。



あんのクソ野郎…!俺のシェリルに何てことを…!




「ふふ、皇太子様。それ相応の制裁をあの2人に与えなければなりませんね?」



ニコニコと黒い笑みで微笑みながらシャロンが言ってきた。


「あぁ。そうだね?んじゃあ入ろう」



ーーーコンコン



扉をノックすると出てきたのは使用人らしき女。


目が合うと頬を染めて俺を見上げる。



…気色悪いな、もう。



「皇太子様!

お待ちしておりました。当主家族が応接間にて待っております。」




…はぁやっと君のご主人様に毒を吐くことができるよ。


とは言えず。



「夜遅くに申し訳ありません。


先日お送りした文に書いた様に、手紙では言えない話がございまして。

直々に参った次第です」






シャロンの丁寧な口調に少し笑った。


…こんな家に物腰を柔らかくする必要なんかないのにね、本当は。



…こんな腐りきった家なんかに。