いい加減俺は自分がモテているいうことは自覚している。





顔は父親譲りでまあまあ良いし、皇太子っていう身分だし。




少し母親の遺伝子も混じってて柔らかい顔立ちをしているから、社交辞令の笑顔でもニコッと微笑めばみんな俺に好意を寄せる。





…つまり、俺は外面でモテているってこと。





だから俺に一目惚れするやつは多くて。




この子も俺に一目惚れしたのかと思ったけど…どうやら違うみたい。




…なんか、嬉しい。





「聞いてます?…お兄さん?」






ボーッと考えていた俺に呼びかける彼女。



「あの…左腕…」





彼女に言われた通り、左腕を見てみると、小さいながらも深そうな切り傷があった。



歩いている時にでも鋭い枝で切ってしまったのだろう。血は止まっていた。



「私、絆創膏と消毒液持ってるんです。


綺麗な水持ってくるんで待ってて下さいね⁇」



そう言って彼女はパタパタと走り、どこかへ行ってしまった。