「あ~春なのに、もう殆ど暗くなってきちゃったね。」

「うん・・・」

「送っていこうか?」

「送ってくれるの?」

「うん、いいよ。」

「でも、少し此処から遠いよ。」

「大丈夫、僕はこの街に結構前から住んでるんだ。迷ったりしないよ。」

「うん、じゃ送ってください。」

「分かりました。」

 二人は同時に少しふき出した。
 二人とも、かしこまったしゃべり方をしたからだ。

「(でも、私凄く人見知りなのにどうして優奈には近づけたんだろう?)」

「どうしたの?」

「ううん、なんでもない」

 二人は、夕闇に染まった空の下を並んで歩いていた。

「(うわぁ・・・なんか緊張する・・・)」

 涙菜は歩き方が少しぎこちなくなってきた。

「涙菜?足でも痛いの?」

「ううん・・・ただ、足が・・・」

「・・・」

「優奈?」

「・・・(ひょいっ)」

「!?・・・えっ??」