「夜分遅くに申し訳ありません。優奈様をお迎えに参りました。」

 ドアの向こう側に立っていたのは、メイドさんの長谷川さんと2,3人のメイドだった。

「いえ、時間に気付かず・・・すみません。」

 涙菜は長谷川さんとメイドに頭を下げた。

「いえ、こちらこそ、優奈様がお世話になりました。」

「いえ・・・(お世話になったのは私なんだけど・・・)」

「長谷川さん、迎えに来てくれて有難う。」

「優奈様、もう9時過ぎです。今日は夕闇様のおうちにいたから良かったもののもし万が一のことが遇ったら如何するおつもりですか。今後こんな事がないようにお願いします。」

「はい・・・」

「(優奈が子供扱いされてる。)」

「で、夕闇様。ご両親は?」

「あっ、仕事です。」

「お二人共ですか?」

「はい。」

「・・・」

 長谷川は黙って、優奈を見、そしてゆっくりと視線を涙菜に流した。そして、

「それは大変ですね。ご両親共お仕事とは」

「はい・・・」

「ご両親の留守中に大変お邪魔しました。では、優奈様行きましょう。」

「涙菜!じゃ、また明日ね。」

「うん・・・」

 優奈は元気な声でそう言って、帰って行った。