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「ゆかり、ごめん!」
浩平は手の平を顔の前に合わせて、必死に謝っていた。
今日は1学期の終業式で、浩平は土下座でもするんじゃないかと思うくらい頭を下げていた。
こんな謝り方されたら、許す他ないやん!
「もう・・・いいよ。頭上げて」
浩平はゆっくりと頭を上げて、申し訳なさそうな表情で、私を見つめ、あらためて話を切り出した。
「明日、花火大会があるから、それに行こう!」
浩平の優しい心遣いが嬉しくて、私は大きく頷くと、ニッコリと笑った。
そして、私達の姿、いや私の姿を見つめる渡辺くんの視線がいつものように鋭く刺さる。
――もう見ないでよ――
――ずっと見てるよ――
そんな聞こえない会話を視線を絡ませながら交わして、すれ違う。
渡辺くんには、あの日以来会っていないし、連絡が来ることもなかったが、私には、その方が都合がよかった。
もう・・・邪魔をしないで・・・。
目を閉じて、息を吐き出すと、私は浩平の方を向き、「じゃあ、放課後またね」と言い、別れた。

