あじさい~揺れる想い~




『・・・お母さんも驚いたのよ・・・・・・』


俯く母は、静かにそう言うと黙り込んでしまった。


驚いた。って・・・どういう意味よ!!


私は眉をひそめて、母の顔を見つめた。


『お父さん・・・・・・ずっとA型やと思ってたから・・・・・・。でも、生まれてすぐに調べたものだったから、正確じゃなかったみたい・・・・・・』


聞いたことがある・・・。


生まれてすぐに調べる血液型は、臍帯血で調べてるから、母親の血液が混ざっている可能性があり、正確な血液型は時間が経ってから調べる必要がある。


お父さんは、本当の血液型を知らなかったんや・・・。


でも、今はそんなことは問題じゃない・・・。


『わ、私は、お父さんの子供じゃないの?』


震える声を必死に出して、私は1番聞きたいことを聞いた。


私の言葉が終わった後、しばらくは二人の間に沈黙が流れたが、意を決したように母は目を閉じて、静かに頷いたのを見ると、私の目の前は、真っ暗になってしまった。


どういうこと?

なんで?

『お母さんは・・・?』


私の本当のお母さんは・・・?


『母親は、私よ・・・』


その言葉に安心する余裕などなく、私はいろんな考えを巡らせていた。


私が産まれたのは、お母さんたちが結婚して5年目のこと。


ってことは・・・どういうこと?


お母さんは、お父さん以外にもそういう関係にあったってこと?


どうなんよ!お母さん!


嘘やと言って!


『ゆかり・・・驚くと思うし、お母さんを許せなくなるかもしれないけれど、聞いてくれる?』


母は、私に真っすぐな視線を送り話すと、私もまたゆっくりと頷いた。


聞かないと・・・何も始まらない・・・。


そう覚悟したつもりだったが、目の前の母の思い詰めた顔を見ると、全身が震えて来た。