あじさい~揺れる想い~




「私・・・・・・」


私が話し出したことがあまりにも衝撃的だったのか、渡辺くんは何も言えず、私の横顔を見つめていた。


「それを知ったのは、私が中1の時・・・」


私の話し方があまりにも苦しそうにしていたのか、彼が受け入れることができなくなったのか、彼は「もういいよ・・・」と止めようとしたが、私は話を続けた。


私は、忘れることができないあの時のことを彼に話そうとしていた。


蝉の鳴き声さえも聞こえないくらいに、二人の間には、緊張感が漂っていて、お互いのゆっくりとした息遣いと激しい鼓動が聞こえるのではないかと思うほどだった。


「俺ももっと早く、手塚さんに出会いたかった・・・・・・それなら・・・・・・」


立ち上がった私の後ろ姿を見つめて、彼が投げ掛けた言葉を遮るように、私は口を開いた。


「もう・・・・・・それ以上言わんといて」



それだけを残して、私は彼の前から立ち去った。



今でさえ動揺してるのに、中学の時に会ってたとしても・・・・・・受け入れることができるわけないやん・・・・・・。