「ゆかり・・・引いたよな?」
抱きしめる力を緩めて、顔を見合わせると、浩平は悲しそうな表情で私を見ていた。
彼氏が、自分のことを一日中考えてくれるなんて、最高のことじゃない?
例え、抱きたくて連れて来たとしても、ちゃんと躊躇してくれてたわけだし・・・・・・それも思いやりやんね・・・。
そんなに考えてくれてるのに、引くわけないやん。
「浩平、気にしなくていいよ」
私は、浩平の目を見てしっかりと言うと、彼は眉間にシワを寄せて、苦しそうな表情をしていた。
「でも・・・」
私が『気にしないで』と言っても、浩平の表情は沈んだままで、私はどうしたらいいのか頭を悩ませた。
浩平は、私の体目当てで家に呼んだのを後ろめたく感じてるのかもしれないけど、浩平くらいの年齢なら、彼女がいるならそう思うのも自然のことやと思う・・・・・・。
しかも前にしたのは・・・・・・3ヶ月くらい前だし。
そんなことより・・・・・・どうしたら、いいの?
――ゆかりからおねだりしたの?――
今朝、理香に言われた言葉が急に頭の中で姿を見せ始めたので、私自身驚いた。
いや、いや、いや!
お、おねだりなんて・・・できるわけないし!
目の前を見ると、うなだれて、罪悪感にさいなまれている浩平の姿・・・。
こんな姿、見てられへんし・・・。
私は、深呼吸をして心を落ち着かせて、口を開いた。

