あじさい~揺れる想い~




「Tシャツとハーフパンツでいい?」


そう言いながら、浩平は白いTシャツと黒のハーフパンツを持って降りて来た。




「うん。ありがとう」



浩平から服を受け取ると、浩平の後に着いて行き、浴室へと向かった。



背中・・・やっぱり大きいよね・・・・・・。



私は、浩平の服を胸に抱きながら、目の前に広がる浩平の背中を見つめていた。



「バスタオル、ここに置いておくね。着替えたら、先に部屋に行ってて。俺も着替えてから行くから。寒かったら、シャワーも使ってくれていいよ」



浴室の前まで来ると、浩平は振り返り、後ろ髪を触りながら言いながらリビングへと向かった。



なんか浩平、照れてたし。



浩平には、照れくさいと、後ろ髪を触る癖があることに気付いたのは、彼に告白された時だった。



『俺、手塚さんのことが・・・・・・す、す、好きです。もしよければ付き合って下さい』



たったこれだけの言葉を言うのに、後ろ髪をありえないくらい触りながら、何度も噛む様子に、いつもはクールな浩平の意外な面が見れて嬉しかったのを覚えている。



「やっぱり、ブカブカやし」



浩平の服を着た私は、やたらと長いTシャツとハーフパンツを見て、笑みを零した。

そして、姿見に映った私は、まるで小学生が大人の服を着たみたいに幼く見えた。

色気も何もないね。


元々、色気なんてないけど、こんな服装だとますます色気とは遠いところへ行ってしまう。



制服をハンガーに掛けて、浩平の香に包まれたまま、2階へと向かった。