エンビィ 【完】





ユキノそう言うと、誘い込むようにバルコニーのほうに向かう。


その身のこなしは、魔力でも秘めてそう。

さすが伊織の妹だけあって、妖艶だわ…。



それにしても、

さっきユキノは「謝りたい」と言っていたわね…。



はっ、一体どれに対してかしら?

あたしとしては、アンタに謝ってほしいことだらけよ。




ふらふらと蝶の化身のような女を、追う。

けれど、迷うことなく進む後ろ姿に、知らずと魅入る。


ユキノが通れば、

まるで香りでもあるかのように、みんなして視線を上げ、うっとりとユキノを眺め続ける。


唇を深く噛みしめる。

なんであたしが……惨めな気持ちになんなきゃなんないの。