エンビィ 【完】





無意識に、伊織を探していた。

あの冷めた目で見られていると思うと、身体の芯が冷えてくるのだ。


あの瞳は、妹以外の全てを排除している。

だから、妹以外は、無価値だと、そう思わせてくる。




―――と、

ふと一点で視線が止まった。



大きな声で外国人が「ブラボー」と拍手したあと、どっと笑い声があがった。

大勢の外国人に囲まれていても、隙間からチラリと見える派手な髪色。



流暢な英語

フランス語

スペイン語

イタリア語

ドイツ語―――らしきものが聞こえる。



気のせいじゃなければ……それは同じ声色だ。

それから一斉に、外国人が何かをしゃべりだす。