エンビィ 【完】






「盛大な拍手、有りがたく頂戴致します」



高いところから人を見下ろすというのは、

ひどく気分がいい。

まるであたしがこの連中を従えているみたいで。



伊織とユキノが、ちゃんと会場にいることを確認してから、マイク越しに話す。僅かに笑みを湛えているユキノに、あたしは破顔する。



今日の主役は、誕生日のあたし。

けれど、主役交代の時間よ。




「本日は、欲しいプレゼントが一つあるんです」



主役、ちゃんと務めてよね。

すっごく、楽しみにしてるんだから。



今日があたしの誕生日だなんて、この中で知っているのは極わずか。いきなりのあたしの一言に、会場の声が大きくなる。


でも用があるのは、一人だけ。




「誕生日祝って頂けませんかしら――――ユキノさん?」



あたしとは格が違うという、

ユキノただ一人。