「玲奈が俺の前で、お嬢様言葉を使わないの嬉しい。しかも、誰にでも頼めないことを頼んでくれるのも嬉しい……悪事だけど」
「悪事じゃないわ……ただのイタズラよ」
「はあ……言われたことは済ませてきた。けどさ玲奈、やめたほうが―――」
「それは、あんたが口出すことじゃない」
それに肩を竦め、「まあ俺は玲奈の幸運を祈ってるよ」人の中に入っていった。
幸運を祈っているよもなにも、あたしが失敗する可能性なんてゼロだ。
腕時計で、時間を確認する。
丁度いいころ合いだ。
あたしは幕の引かれているステージをみて、嗤う。
「――――…みなさま、今日はお集まり頂きありがとうございます。楽しんで頂いてますでしょうか?…――――…少々貴重なお時間を頂き、是非とも祝ってもらいたいことがあります。今日で娘の玲奈が17回目の誕生日を迎えました。どうぞ盛大な拍手でむかえてやって下さい」
その父の声とともに上がっていく赤い幕。

