エンビィ 【完】





神妙な顔をしていたからかもしれない。




「れーな」


「呼び捨てにしないで」



目の前にはクラスメイトの男。明るい茶髪に染められた髪は、金髪になってきている。


それでも、ユキノより目立つはずはなかった。




「あれがユキノ様?」



目を大きく開いた先にいるのは、伊織とユキノのツーショットだろう。

しばらく黙り込んだクラスメイトは、視線を宙に浮かせたあと頬を掻いて、




「いくら玲奈の頼みでもさあ…」


「………」


「…あの子に恥をかかせるのは……」


「……続き言えば?」


「いやーなんつーか、忍びない?申し訳ない?」


「ちゃんとやってきたんでしょうね?」


「……玲奈マジなの?」


「呼び捨てにしないで。あたしは本気」



―――はあ、

ため息をついたクラスメイトは、ジッとユキノを見つめ続けた。