「そんなの過去に何人もいるというのに。現在だって貴女が唯一というわけでもない。そんなことを私の耳に何度も吹き込むなんて、苦痛以外のなにものでもないわ」
「…………」
「私は同じ話を何度も聞けるほど、暇じゃないんですの」
「………」
「それに成金、成金って、何がそんなにめずらしいのかしら」
「…………」
「どっかの時代のお姫様の血でも継いでない限り、誰も彼も成金でしょうに」
ユキノが饒舌にしゃべる様を、
呆然と眺めていたのは、あたしだけじゃない。
その場にいた2人は、口を半開きにしている。
派手な色をした髪。
その色のせいもあるんだろうけど、整った顔をしているユキノは、外国産の人形のような容姿なのに。
ただの可愛いくて、寡黙なお嬢様じゃない。
そういうタイプじゃないとは思ってはいたものの、あたしの予測を遥かに超えた強気な性格。
ユキノは喉が渇いたと、会場に戻っていく。
その後ろ姿は大きく背中が開いていて、女の私でもその色香に釘づけになった。

