これはあたしの中で、禁忌に近い言葉。
影で言われているのは……知っている。
けれど、直接あたしに向けて、その言葉を放り出されたのは……はじめて…。
言わせないために…牽制したのに……。
ぎこちなく首を回す。
「元は成り上がりのくせに、」
なんたって、
なんたって…、
「――――で、合ってるのかしら?」
この女が、そのことを知っている。
どこにいたって、一発で探し出せる髪色。
今日も黒のドレスを身に纏う、華奢な身体。
前回と違って、
足元まであるドレスと、首に巻かれた細い紐が、この女をさらに大人っぽくさせている。
「何をそんなに驚いているの?」
その名どおり、雪のように白い肌。
容姿ですら忌々しいのに……この女の舌は、もっと忌々しい。

