「ええ。少し奇抜であるけれど、自分をもっていらっしゃるところが好感を持てるわね」
「それに伊織様にあんなに愛されているのも羨ましい」
「あの2人を見ていると、どんなに頑張っても格の違いを見せつけられるわ」
「けれど、あまりに違いすぎて、嫉妬すら覚えないものね」
――――また格の違い。
――――それってなに?
「玲奈さんも美人だけど、到底“ユキノ様”には敵わないわね」
伊織の溺愛する妹、ユキノ。
生粋の中の生粋のお嬢様、ユキノ。
百瀬に伊織の妹を調べるように言って、その名前を初めて聞いたとき、若葉の“白雪姫”を思い出した。
ユキノ……まるで、白雪姫をもじったような名前。
「まあ元は成り――――…」
そこで2人の会話はピタリと止まった。
いや止めたのだ、あたしが。

