エンビィ 【完】





それから5分しても百瀬から電話はなかった。


なに手間取ってんのよ…。若葉が知っていて、あたしの耳に入らない情報。

今回のパーティの主催者は、やたら若葉に肩入れしてる。




いつもの百瀬からは考えられないほど遅かったうえに、やっと分かったと思えば、やたら歯切れの悪い答えをもらったのは、百瀬が迎えに来てくれた時のことだった。



「……は?」


「ですから、伊織様の親戚のかたではないか…と」


「なんで断定できないわけ?」


「なんでも、稀に見る奇抜なお人だったとか」


「女どもからの評判は悪かったわ」


「だからです。様々な憶測が飛び飼っているのです」


「は?」


「は、…と申しますと?」


「は?なんで?なんで百瀬の力を持っても調べきれないの?」


「それは情報がまるでないからです」