どんな悔し気な顔を見せてくれるのか楽しみ。
声を荒らげるのもいいわ。
無様で素敵じゃないの。
けれど、いつまで経っても若葉は何も言わない。
それどころか、くすりと口許を弧にすると、
「別に気の毒じゃないわ。だっていくら頑張ってもあの子には勝てやしないもの。あの子は、シンデレラじゃないわ。白雪姫よ、白雪姫。だから私は気の毒じゃないわ。なんたって、これからいくらでもシンデレラになれるんだもの」
肩を竦めて、
愛嬌のある顔を惜しみなく見せた。
このパーティに伊織が来ることを事前に知っていたことといい――、若葉はあたしの知らない情報を入手している。
「……百瀬」
『はい。如何致しましたか』
「伊織様と一緒にいる女がダレなのか調べて」
『……玲奈様は…ご存知ないのですか…?」
「は?…知らないから調べろって言ってんのよ」

