けれど本当に見ない顔だわ…。
その前に、あれだけド派手なら…悪目立ちする。
あの女は……
中のお嬢様たちが言っている悪評が当てはまる気もするけど――。
確かに、パーティに行きつけているわけでないと思う。
けれど、場慣れしてないわけではなさそうだった。
見ようによっては、特に生粋のお嬢様なんかには、
下品に見える容姿。
しかしあたしは不運にも、いや幸運にもかもしれないけど、
その顔も見ているし、言葉を交わしもした。
ドレスと違い、化粧はケバかった。
でも見苦しさとか下品さを不思議と感じない。
あたしからしたら……心底腹立たしい。
だってあの女……
自分がどうしたら一番美しく見えるか、たぶん知っている。
へえ……でもあの女の登場で、あたしにもまだ勝機がある。
だって伊織は"生粋の血"に重きをおいてないみたいだから――。

