エンビィ 【完】





確かに、簡単に人を寄せ付けなそうなオーラ。


性格も気難しいと聞く。

だから懐に入るのが難関な御曹司。




――――伊織様



この船上にいる全員が知っている名前、だと思う。


規模も財力も、

全てにおいて他を大きく上回る会社の一人息子。


道理でみんな浮き足立っているわけ。


知らず知らずのうちに、伊織という男にドキドキしている。


見たい、話したい、

触れてみたい、


そう本能で思わせる力がある男だ。



格が違うと言われるだけの家柄。

その男を手玉にとってみるのもいいかもしれない――。