エンビィ 【完】





『玲奈って子、なーんにも知らないみたい』


『仕方ないよ、わたしたちと違って生粋のお嬢様じゃあないし』


『やっぱり生まれと育ちは、ごまかせないよね』




男は一代で成り上がった、

所謂成金で。


あたしは、

その男の血の繋がらない娘。




『でもお母様が仲良くしておきなさいだって』


『そーなの?』


『うん。将来役立つパイプになるかもって』




―――だれが、

誰が……そんなパイプ役になってやるもんか。



うまれと、そだち?

―――血…が、なんだって言うんだ。



欲しいものは、お金でなんだって買える。

けど…生まれたルーツは……買えない。



その事実に愕然とした。