エンビィ 【完】





「自分の周りにいる人間を、友達とは見れないって、」



――――そう、はっきりと、言ってたもの



「…っ」



最後まで続かなかった言葉は、喉奥に引っ込んでいった。派手だけどユキノとは違う、真っ赤な髪が、あたしの鼻先で揺れている。



「玲奈様!」


「ケ、ケイ君!」



数分前に伊織にそうしていたように、

あたしの喪服の胸元を掴みあげ、目と鼻先で身の毛もよだつほどの眼光を飛ばす男。



「な、なに…よ…」


「いいかよく聞けよ」



震えがこみ上げてきたのは、きっと驚いたせい…。



「…離しなさい、よっ」


「聞いたら、すぐにでも離してやるよ」



……なんなの…この男…。