エンビィ 【完】





「ユキノを友達と思ってるのなら、それは滑稽な話よ」


「…あ?」


「それは唯の独りよがりでしかない」


「てめぇ…なに、」


「だって、その証拠に、あなたたち知らなかったんでしょ?」


「………」


「ユキノに、持病があったこと」



男は唇を深く噛みしめ、悔しそうに怒りに瞳を染めつくす。

女のほうは……戸惑うように男を気遣っている様子だった。




「それに―――言ってたもの」



焦らしたあたしを訝しむ男に、自然と笑みが深くなっていく。


そう、ユキノは言っていたんだもの。



――ねえ、


2人してもっと絶望したらいい。

あたしの行き場のない感情をぶつけさせてよ。


だって、ユキノと時間を共有して、伊織に突っかかるほど――――ユキノのこと知ってるんでしょう?