その拍子に、地面にハラハラと落ちゆく花びら。
真っ赤なそれは、葬儀には不相応。
「なあ……教えてくれよ……アイツとは一週間前に会ってんだ。いつもどおりの、高飛車な口調でよ、相変わらず可愛げのない様子だった……元気だった………なあ?…それがどーして一週間でこうなる?分かるように説明してくれよ……」
“アイツ"と呼ぶ、悲痛な声。
遣る瀬無さと、
物狂おしいほどの口調を―――
「“アレ”は死んだ。静かに冥福を祈ってくれ」
意図も簡単に刺し殺す、無感情な低い声。
そこには、傷心も悲哀も絶望もない。
あれほど溺愛して、大切にしていたというのに。
いまは、その欠片も見当たらない。
悲しみを隠して、無理をしているようには見えない。
それはただ平然を装っているだけなのか。
でも事実を淡々と話す姿は、ユキノを溺愛していた同一人物と思えないほどに冷たい。

